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コムニコが辿ったナレッジマネジメントの3つのフェーズ

はじめまして!コーポレートサクセスチームでBPM(ビジネスプロセスマネジメント)を担当している吉満です。BPMという言葉はあまり聞き慣れないかも知れませんが、「標準化」や「可視化」をキーワードに、業務フローの作成や社内改善プロジェクトの推進などを担っています。
2022年度からは「メンバーがいつでも必要な情報にアクセスできるための環境づくり」のために導入した「Notion」の管理人として、コムニコのナレッジ整備に日々取り組んでいます。
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今でこそコムニコもメンバーが100人を超え、Notionでのナレッジ作成・活用が浸透していますが、私が入社した2018年は人数もまだ30人を超えたくらいで、どちらかというと少数精鋭の一子相伝的な雰囲気が残っていました。
今回はコムニコが辿った「ナレッジマネジメントの3つのフェーズ」を紹介することで、Notionの管理人として心掛けていることを紹介できればと思います。
世間では〇〇人の壁という言葉がよく使われますが、拡大成長期にある企業にとって役に立つ内容になればと願っています。

フェーズ1:ナレッジ作成の文化は存在した


コムニコのカルチャーコードである"comni;code(コムニコード)"には、「Be a team player」「one comnico, all leaders」などが謳われており、私が入社した2018年には後輩や同僚のためにナレッジ資料を作成する文化がすでに存在していました。しかし、気がついた人が思いやりの気持ちで資料を作成するというニュアンスが強く、組織としてナレッジマネジメントを推進しているという状況ではなかったように思います。
具体的には以下のような課題を抱えていました。

①アクセス性
作成されたナレッジ資料がGoogle ドライブなどに散在していてアクセス性が悪い(同じ資料をダブって作成してしまうことも…)

②網羅性
部署や業務によってナレッジの蓄積度合いにバラつきがあり、全社的に見ると抜け漏れやムラが発生

③鮮度
Google ドライブの隅っこで更新されないまま情報が古くなっているナレッジ資料が存在する

市場の状況などからコムニコが拡大フェーズに突入することは明確であったため、会社全体の底上げを目的とした「組織的なナレッジマネジメント」の必要性や方向性が議論されるようになりました。

※今となっては「洞窟の壁画」のように見えますが、
この図を描いて組織的なナレッジマネジメントの必要性を説明していました

フェーズ2:プラットフォームの構築


ナレッジ資料へのアクセス性を高めて利用の促進を図るべく、コムニコでは「ナレッジを集約して配置するプラットフォーム」の構築に取り組んできました。
現在使用しているNotionに落ち着くまで、Google サイトを活用した「コムニコポータル」や、自社開発したプラットフォーム「コムニナレッジ」など、いくつかの模索を重ねています。(「コムニナレッジ」は、現在は「LMGナレッジ」としてグループ会社のナレッジマネジメントに活用されています)

どのプラットフォームを利用する場合でも言えることですが、作成された資料へのリンクを配置していくだけでは、必要なときに必要なナレッジに辿り着くことはできません。アクセス性や網羅性の問題を解決するには、適切に設計された「階層」が必要になってきます。コムニコでは2022年のNotion構築にあたり、改めて「階層」の整理整頓を行いました。
その際に設計のガイドラインとして活用したモデル図を、今回はふたつ紹介したいと思います。

■ガイドライン①:5W1Hと時系列図


5W1Hのフレームワークを、フロー図で描き現したものです。
上記の図はあくまでもモデル図ですが、作成されたナレッジが業務全体の流れの中でどの位置に該当するのかを把握すべく、事前準備として各サービス毎に業務フロー図を作成し、プラットフォームの階層設計に活用しています。

「Twitter」「Facebook」「Instagram」などSNS毎にナレッジを配置する階層案もありましたが、メンバーがナレッジを必要とするのは業務の進行に躓いたときだと考え、基本的には業務の流れに沿ってナレッジを配置していけるように階層を設計しています。
※Notionはキーワード検索もできるため、SNS名からナレッジを辿ることも可能です

また、目の前のタスクが「全体の流れの中でどういった意味を持っているのか」を把握することで業務の理解度や習得のスピードが変わってくるため、新入社員へのレクチャーに活用することも想定してプラットフォームの階層に時間軸を盛り込むことにこだわりました。

■ガイドライン②:部署ナレッジと全社ナレッジの区別
プラットフォームの階層設計で頭を悩ませたのが、「部署ナレッジと全社ナレッジの調整」という問題でした。
部署ごとにナレッジを配置するという階層案は、作成したナレッジを配置していくうえでは一見すると分かりやすい階層のような気がします。

しかし、ほとんどの業務は複数の部署がボールをパスし合う形で進めていくことが多く、スムーズな進行のためには前後関係のつながりに整合性を持たせることが大切になってきます。
各部署でナレッジ作成が活発になることは大歓迎すべきことなのですが、全体を俯瞰して前後関係のつながりを調整する作業を怠るとナレッジやルールの重複が発生し、「どっちが正解か分からない…」という状態が発生する懸念がありました。

コムニコでは最終的に、以下のガイドラインを作成してNotionの階層を設計しました。


ナレッジを整備するにあたり、業務を大きく「クライアント業務」と「組織の運営」のふたつに分類します。
基本的な考え方としては、お客様にサービスを提供するためのタスクは、たとえ特定の部署だけが専有している業務でも、業務の進め方に変更があるとサービス全体に影響を及ぼすため、全社ナレッジとして部署横断的に整備します。

また、組織運営のためのルールやナレッジの中でも、人事評価など全社的に共通のルールを敷く必要がある業務は全社ナレッジとして整備されるため、部署独自のルール・ナレッジはこれら全社ルールと整合性を持たせながら整備していく必要があります。

各部署で作成されたナレッジをNotionに格納するときには、上記のガイドラインをもとに管理人が最適な配置場所を判断しています。

フェーズ3:情報の鮮度を保つための仕組み

プラットフォームを構築してアクセス性の問題が解決しても、ナレッジマネジメントが完了するわけではありません。
新サービスの提供開始やSNSの仕様アップデート、業務手順の改善や法改正など、様々な変化に対応し続ける必要があります。可視化できていないナレッジや暗黙のルールなどもまだ存在しています。

コムニコでは情報の鮮度を保つために、私のようなNotionの管理人を2名配置し、各部署のナレッジ作成や階層の整理をサポートする体制を取っています。
また、グループ会社全体のルールを掲載している「LMGナレッジ」で記事の作成や更新があった際には、Teamsにて更新情報が自動投稿されるようにシステムを組むなど、新しいナレッジをキャッチアップするための仕組みも構築しています。

まとめ:新入社員が活躍できる体制をつくる

コムニコでは、もともとナレッジ作成の文化があるところにプラットフォームが与えられ、さらにはトップダウンで組織的かつ全社を挙げてNotionを構築・運用していくことが方向づけられました。
過去の模索を振り返ると、Notionによるナレッジマネジメントの定着の背景には、経営トップが今後の成長を支える重要なプロジェクトとして「メンバーがいつでも必要な情報にアクセスできるための環境づくり」を明確に宣言したことにあると考えています。

コムニコは2022年4月に従業員が100人を超えました。(2022年9月末時点で128名)
ナレッジの構築にはそれなりの時間が必要ですが、拡大する需要に対応するためには人材育成が何よりも重要です。

ベテランの活躍ももちろんですが、新入社員が活躍できる体制こそが拡大フェーズの組織には求められるのではないでしょうか。

ナレッジマネジメントは様々な部署と関わるので調整が大変なときもありますが、今まで知らなかった世界(部署)の仕事に触れることは好奇心をくすぐられます。
私はNHKの「プロフェッショナル 仕事の流儀」という番組が好きなのですが、各部署のプロに仕事を進めるうえでのポイントなどをヒアリングしていると、まるで番組を見ているかのように様々な気づきと仕事への情熱を分けてもらうことがあります。
ナレッジマネジメントにおいて管理人はあくまでも裏方ですが、とても楽しい仕事です。

コムニコが辿ったナレッジマネジメントの3つのフェーズ、ぜひ参考にしてみてください。